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歴史と未来をつなぐ布 ―「時をまとうハンカチーフ」誕生
西洋の至宝 × 日本の至芸、携える芸術へ

 1879年(明治12年)創業のブルーミング中西株式会社は自社が所蔵する19世紀ベルギー「ポワン・ド・ガーズ(Point de Gaze)」のレースハンカチに着想を得た新作、「時をまとうハンカチーフ」 を発表いたします。
「オールドコレクション(ヨーロッパで収集したアンティークハンカチーフ群)」の中でも、最も精緻な手仕事の一枚を原点に、新たな時代の“象徴的なハンカチーフ”として制作しました。
西洋のレースが持つ繊細な美と、日本の職人が受け継ぐ手仕事の技。二つの文化と時代を超えて融合したこの作品は、単なる日用品を超え、“携える芸術” として生まれました。

西洋レースの極致「ポワン・ド・ガーズ」

インスピレーションは歴史の中に

19世紀のベルギーで誕生した「ポワン・ド・ガーズ(Point de Gaze)」は、針(ニードル)と糸によって作られる「かがる」技法のレースで、透明感と立体感を併せ持つレースの最高峰です。豪華かつ精巧を極めたレースは当時の上流階級女性たちの憧れであり、ヨーロッパの宮廷文化の象徴でもありました。

ブルーミング中西が所蔵する「ポワン・ド・ガーズ」は、先々代がヨーロッパを訪れた際に蒐集したもの。100年以上の時を経た今も、その美しさは色褪せることなく、手仕事の粋を静かに物語ります。

 

日本の手仕事で仕上げた逸品 ― 伝統と革新の再創造 ―

今回の制作は、単なる復刻ではなく、オリジナルの意匠をもとに現代の感性で挑んだ“再創造”です。
織り、製版、手捺染、縫製――。
生地の始まりから仕上げに至るまで、十数の工程を日本各地の職人が手掛けました。
いずれも国内有数の工房や職人が担当し、生地の織り、染料の濃度、縫製の針目までを吟味しながら、“日本の手仕事の粋”を尽くして仕上げています。

その工程に宿るのは、時間を惜しまず、美を極めようとする日本の職人の心。
目に見えない工程の連なりが、静謐で気品ある存在感を生み出しています。

織り  阿江ハンカチーフ株式会社(兵庫県加東市)

整理加工  近江織物株式会社 (滋賀県近江市)

製版  中井スクリーン有限会社(神奈川県横浜市)

捺染  シナノプリント有限会社(福島県いわき市)

水洗い  小野木繊維加工株式会社(京都府京都市)

金彩加飾、螺鈿  三宅工芸株式会社(京都府京都市)

手巻き縫製  有限会社根本商会(青森県八戸市)

製版

捺染

手巻き縫製

 

技と美の融合 ― 金彩と螺鈿の煌めき ―

仕上げには、京都の金彩工芸士、三宅誠己氏 による金彩・螺鈿(らでん)の加飾を施しました。ひとつとして同じ表情のない、一点物の作品です。

ハンカチーフ全体に広がる金彩の表現は、華麗でありながら繊細。   
貝を削り装飾にする螺鈿は、本来ハンカチーフのような柔らかな素材には施すことが難しく、門外不出の独自技術によって実現しています。
一枚の完成には 80 時間以上を要し、熟練の手と集中力が求められます。

配色は黒地と白地。それは、「陰と陽」「西洋と東洋」「伝統と革新」――
相反するものが調和してこそ生まれる、深い美を表現しています。

 

職人紹介

三宅 誠己(NOBUMI MIYAKE)/京都・金彩工芸士

三宅工芸初代代表。30年以上にわたり着物制作に携わり、図案から仕上げまで一貫して担当。
特に金彩加工では独自の技術を確立し、国内外から高い評価を得ています。
現在は着物を超えた新たなモノづくりにも挑戦を続けており、
本作では金彩と螺鈿の加飾を一点ずつ手仕事で担当しました。

 

一枚のハンカチーフに込める、146年のものづくりの軌跡


創業146年。
1879年創業のブルーミング中西は、ハンカチーフを「心を託し想いを繋ぐもの」としてつくり続けてきました。
本作品は、「手仕事の尊さ」「美の継承」「日常に宿るアート」という理念を象徴する一枚です。レースに刻まれた“時”をまとうような繊細な美を、現代のハンカチーフとして昇華。
“用の美”を超えた、ラグジュアリーなアートピースとして提案します。

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